雲助師匠の「火事息子」
12月の上席、鈴本演芸場では「雲助 冬のお約束」と題し、五街道雲助師匠による日替りネタ出しの企画公演がおこなわれています。「鰍澤」「掛取万歳」「夢金」などワクワクするような演目が並んでいますが、仲日の今日は「火事息子」、これはどうしても聴きたいネタだったので、仕事が引けてから急いで鈴本に向かいました。
平日の、しかも週の真ん中とあって客の入りは三分くらいでしょうか、この空間で雲助師匠を聴くというのはとても贅沢な気分です。
ヒザ前の扇辰師匠の「鮑のし」に間に合いました。軽くて洒脱でとても素敵な「鮑のし」でした。ヒザは小菊師匠、いつもの♪柳橋から~という端唄ではなく、欣来節から始まりました。賑やかで個人的に大好きな歌です。出だしのところを♪すり鉢を~と歌う人と♪あたり鉢を~と歌う人がいますが、小菊師匠はすり鉢でした。
さてさて、雲助師匠の「火事息子」。音源では何度となく繰り返し聴いていますが、やはりライブで聴くとやや印象が変わってきます。この噺の根本は親と子の間の感情だと思うのですが、そこに火事という重要なモチーフが隠されていることを改めて感じました。つまりただ単に頑固な親父が勘当した息子に再会したというだけの噺ではない、火事騒ぎの後の高揚した気持ちや、火事見舞にきたよその若旦那を見ての困惑など、全てが混じり合ったうえでの親子の再会なのだということが感じられました。また音だけで聴いていると大旦那が厳しすぎるように感じたのが、生で見るとそこに確かな情味があふれていて素晴らしかったです。
来年の2月に開催される「龍玉部屋」では、雲助一門の龍玉師匠が「火事息子」をたっぷりと聴かせてくれると思います。
どうぞお楽しみに。
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