レ・ミゼラブルの人々、落語の人々
話題の映画「レ・ミゼラブル」を観てきました。
確か談志師匠に、貧乏とは寒さであるというような言葉があったと記憶していますが、まさに人々の貧しさが寒さとして的確に表現されているところが印象的でした。
また、貧しさを表現するのに、着ているものがボロだったり、汚かったりするのはよくあることなのですが、この映画で秀逸だと感じたのは人々が不健康に描かれていたことです。
アン・ハサウェイはこの役を演じるために25ポンド(約11キロ)も体重を落としたそうです。
この映画で描かれている時代からは少し下るのですが、普仏戦争の頃(明治初期)にフランスに留学していた薩摩人のことを司馬遼太郎が書いています。
「…九月二十一日には、二十歳から六十歳までの者で、市民兵が組織された。前田正名も応募した。籠城八十日目になると、市民はねずみの肉まで食うようになった。そのねずみの肉も容易に手に入らず、買えば一フランもした。日本の一分金一枚という高さである。百日目になると、さらに窮乏した。前田は馬の蹄を煮だした汁を買って、やっと飢えをしのいだ」(「余話として」より)
「レ・ミゼラブル」の中では、ほぼ同じような悲惨な状況が描かれていますが、思えば落語に出てくる人々も同じような貧しさの中に暮らしていますね。
落語の「黄金餅」の舞台になっている下谷の山崎町、「唐茄子屋政談」の誓願寺店(せいがんじだな)とかをリアルに映像化するとしたら、あんな風になるのではないでしょうか。
ただ、まあ、「黄金餅」で登場人物が全編ミュージカルで歌いながら喋るというのはあまり想像できませんが…。
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