落語の中の良い人
湯島はなし亭@湯島天神参集殿
菊之丞師匠、文菊師匠、こみちさんによるネタおろしの会。三か月に一度くらいのペースで定期的に行われている会ですが、文菊師匠の真打昇進興行があったため、今回は約半年ぶり。
古今亭文菊 「宿屋の冨」
古今亭菊之丞 「首提灯」
柳亭こみち 「井戸の茶碗」
文菊師匠の「宿屋の富」、宿の客がかなり軽い感じで、居残り佐平次のようで可笑しかった。
菊之丞師匠の「首提灯」は、武士がこれまでの師匠の噺にはない重々しさで(強いて言えば夢金の浪人がやや近いか)、とても良かったです。
そして一番印象に残ったのはこみちさんの「井戸の茶碗」。
この噺は多くの噺家さんがやる演目で、大抵は主人公の屑屋の清兵衛さんを「正直者で曲がったことが大嫌い」な人物として描きます。それを今日聴いたこみちさんは「とても良い人」であると説明して噺に入りました。
千代田卜斎と高木作左衛門という二人の登場人物は融通の利かない、馬鹿がつくほどの正直者で、それは武士としての矜持から来ているのでしょうが、屑屋はそれほど固い人間ではないため、今回のこみちさんのやり方は無理のない新しい解釈であると感じました。
屑屋をあくまで良い人、人のためについ働いてしまう人物なのだという風に造形することで、二人の武士の間で右往左往する様子の可笑しさも強調されたように感じます。
ネタおろしということで完成度は高くなかったように思いますが、これはこみちさんの売り物になるような噺であると感じました。
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