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2013年5月19日 (日)

天どんさんのことを考える

先日、三遊亭天どんさんが講師をつとめる落語講座を受講してきました。

天どんさんは新作落語の台本を指導するクラスを持っていますが、こちらは落語の実演指導の教室です。天どんさんが短い噺をいくつかやって見せて、それを覚えてきた生徒が実演し、それに天どんさんがアドバイスをするという形式でした。

天どんさんが噺を解説したり、あるいは生徒に対して細かいテクニックを指導したりするのを聴いていて、なんとなく感じたことがあるので、ここに書きたいと思います。

まず、僕はこれまで天どんさんは「ゆらぎ」の人であると感じていました。
これは「自在」と言い換えても良いかもしれません。

演じ方のスタイルとして、途中で古典落語のストーリーに突っ込みを入れたり、あるいは自分の言い間違えを自分でいじったりするので、天どんさんの噺はいつも流動的にゴールを探しながら進行していると感じていました。
非常に細かく枝分かれした道を手探りで歩きながら進んでいくような印象を持っていたのです。

でも今回天どんさんの指導を聴くことによって、その印象を大きく改めました。

まず天どんさんは非常にインテレクチュアルな人です。

彼の落語指導を聴いていると、いかに噺の構造に対して深い洞察力を持った噺家さんであるかが分かります。

それはプロとして当然のことなのかもしれませんが、詳細に噺の細部を検討しているのです。
そして僕は、天どんさんのスタイルは、この細部の検討により生み出されるのではないかということに思い当たりました。

つまり、今まで僕が手探りだと感じていた部分は決してそうではなく、ひとつの噺を常に分解、再構築しつつ、その姿を高座でドキュメントとして見せる手法であるのだという印象に変わってきたのです。

そういう意味では天どんさんは非常に希少なタイプの得難い才能であると思います。
この才能が今後どう進化していくのか、多くの落語ファンにとって大きな楽しみではないでしょうか。

それから最近天どんさんについて面白かったのは、7月20日に開催される「山崎屋リレー口演」の打ち合わせをしているときに、「龍玉くんが手抜きして覚えてこない時のために、僕が全部覚えておくから大丈夫です」と冗談ながらも言い放ったことです。

この企画は「山崎屋」というネタを天どんさんと蜃気楼龍玉師匠とでリレーで口演しようというものなので、自分のやるところだけ覚えておけばそれでもいいのですが、きっと天どんさんは完全に仕上げてくると思います。
実は天どんさんが謹直の人であるかのが分かります。

もちろん龍玉師匠だって手を抜くということはないはずです。

ということで最後は宣伝ですが、7月20日(土)の「山崎屋リレー口演」、きっと面白い高座になると思いますので、ご予約よろしくお願いいたします。
皆様のお越しをお待ちしております!

ご予約はこちらまで: rakugoten@yahoo.co.jp

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