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2013年5月21日 (火)

町屋お笑い寄席に行きました

本日はムーブ町屋のハイビジョンルームで開催されている、町屋お笑い寄席に行ってきました。

以前は落語協会の二階でやっていたこの会、町屋に会場を移して二回目です。
前回は都合が合わずに行けなかったのですが、町屋は行きやすい会場なのでぜひ一度行ってみたいと思っていました。

出演は古今亭志ん吉、春風亭昇々、鈴々舎八ゑ馬、林家はな平の皆さん。

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メクリ台がないため、ホワイトボードにメクリ貼り、
出演順に花を動かすという斬新なアイディア。

春風亭昇々「初天神」

久々に落語を聴いて腹を抱えて笑いました。

初天神はよく演じられるネタですが、噺家さんによって結構いろいろな工夫が分かりやすく加えられています。
そのひとつに子供をエキセントリックな方向に持っていくことで笑いを取るやり方があると思います。
馬石師匠のは子供が鉄火な職人風、馬るこさんのは客席に乱入していくという型破りな子供、そして昇々さんの場合は、ほとんど薬物中毒なんじゃないかと思うくらい過剰なテンションの子供でした。
今野浩喜(キング・オブ・コメディ)がコントでやる子供を思い浮かべましたが、さらに病的に過剰に造形されていました。

ただ惜しいと感じたのは、この子供を受け止める、言わばツッコミ役の親の方が弱かったこと。
子供だけがぐいぐい行ってしまうので、聴き終わった後に騒がしいだけの印象になってしまう気がしました。

古今亭志ん吉「岸柳島」

志ん吉さんは志ん橋師匠に口調がよく似ていますが、トーンが高く跳ね上がるところ(このネタでいうと「請け合うねェ」の「ねェ」とか「飛び込んでるゥ」の「るゥ」)の部分が、志ん生っぽくなることろがあって、きっちりとした芸風の人だけれど、きっちりじゃないのも似合うのではないかと思いました。

林家はな平「七段目」

はな平さんは二つ目になって2年以上たっていると思うのですが、僕は昇進以来初めて聴きました。
前座さんだった頃に、銀座の山野楽器で「たがや」をやったのを聴いたことがあって、そのときは落語は面白いけれど全体的に地味だなという印象でした。

でも今日久々に聴いてみると全くそんなことはなくて、むしろ華やかな、わりと色っぽい高座であるように感じました。
おそらく芸にきちんとした品がある人だと思うので、逆に突拍子もない下ネタとかが似合うんじゃないでしょうか。「なめる」とか。

ちなみに僕は、彼が二つ目になった時の落語協会メルマガの懸賞に当たって、彼の手拭いを持っています。

鈴々舎八ゑ馬「抜け雀」

何となく以前より精悍になった感じ。痩せたのかな?

八ゑ馬さんはどことなく漫画っぽいキャラクターだと思っていたのですが、幾分風格が備わってきたような。

八ゑ馬さんの前説によれば、この「抜け雀」は、江戸の噺を米朝師匠が上方に移した珍しいパターンだそうです(江戸落語の演目の多くは上方に起源がある)。
上方の噺というのは江戸と比べると全体的に合理的にできていて、この噺も上方バージョンになると理に落ちてしまうというか、ストーリーに飛躍が失われてしまう気がします(これは全然八ゑ馬さんの落ち度ではありませんが)。

八ゑ馬さんは東京で上方の噺をする貴重な噺家さんのひとりですが、新作もとても面白いし、実力もある人だと思うので、「上方の噺をする面白い噺家さん」の枠にはまらず、そこに飛躍を加えてくれるといいなあと思いました。

ところで。
志ん吉さんが喋っていた格安航空のマクラがとても面白かったです。

格安航空は無駄なコストを徹底的に省いて、必要なものを必要な形でお客様に提供するのが良いところですが、この落語会もそんな感じでした。

表方は席亭さんが一人で切り盛りし、落ち着いて噺を聴ける静かな空間があり、料金は安くて、噺家さんはみなさん情熱的に高座に取り組んでいました。
無駄な飾り気はありませんが、こういう落語会がもっと増えればいい、こういう落語会をやりたいな、と思わせる素晴らしい会でした。

次回は8月だそうです。おススメです!

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