「茶の湯」について
10月19日(土)に開催される第五回「ザ・菊之丞」では、古今亭菊之丞師匠が「茶の湯」をネタ出ししています。
このネタを聴いたことのない方のために少しだけ解説すると、「茶の湯」は知ったかぶりの曖昧な知識でお茶を始めたご隠居さんと小僧が、周りの人間も巻き込んで起こす騒動を描いた滑稽噺で、先代の金馬師匠の十八番として知られています。
菊之丞師匠は2009年1月に、文菊(当時菊六)師匠、こみちさんと三人で湯島の本牧亭でやっていた勉強会「本牧はなし亭」でこの噺をネタおろししています。
ただ、記憶が正しければ本当のネタおろしは2008年12月のはずで、確か何処かの茶道関係の団体から依頼されてこの演目を手掛けたはずです。
師匠はネタおろしした年に色々な場所でこの演目をかけていますが、その後はあまり演っているのを聴かないので、今回は久々の上演になると思われます。
物凄く珍しい演目ではないですが、寄席や落語会でよくかかるというわけでもない気がします。
季節ものの噺、例えば夏の「青菜」や「船徳」、冬の「二番煎じ」や「芝浜」などは、その季節になると多くの噺家さんがやるので頻繁に耳にしますが、「茶の湯」のような噺はあまり季節が限定されないため、かえって聴ける機会が少ないのではないでしょうか。
私は三三師匠、今輔師匠、一之輔師匠、小権太さん、馬治さんでこのネタを聴いています。
音源としては小三治師匠や権太楼師匠のものが発売されています。
手元の記録を調べていて思い出したのですが、馬治さんの「茶の湯」を聴いたのは一昨年の震災の翌日でした。
末広亭の深夜寄席で、余震が続いていたので、お客さんは少なかったです。
そんな時に落語なんて聴かなければよいのですが、むしろそんな時だからこそ、いつものように落語を聴きに行きたいという気持ちがあったように思います。
高座に上がった馬治さんは、地震のことには触れず、余計なマクラは一切なしで、すっと噺に入ったのが印象的でした。
菊之丞師匠の「茶の湯」の聴きどころは、なんといっても師匠があまりやらない小僧キャラがたっぷりと登場するところです。
師匠の噺に小僧が登場するのは、「寝床」と「幾代餅」に少し出てくるくらいなので、この「茶の湯」で、大活躍する小僧さんを楽しんでいただきたいです。
どちらにしろ、ごくバカバカしくて、いかにも落語らしい、楽しい演目です。
ぜひ「ザ・菊之丞」にお運びいただき、笑って笑って素敵な秋の休日をお過ごしいただけたらと思います。
前売りチケットの販売はチケットぴあで17日までです。
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