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2014年5月

2014年5月31日 (土)

実録・落語会に男女の出会いはあるのか!?

今日は3つ書きたいことがあります。
少々長くなるやもしれませんが、お時間の許す限り、どうぞお付き合いください。

その1、龍玉師匠の会のこと。

昨日は、新宿の道楽亭で行われている蜃気楼龍玉師匠の「圓朝に挑戦!」の会に行ってきました。
龍玉師匠が圓朝作の続き物に挑戦している会です。

2012年に始まった「真景累ヶ淵」が前回の会で一区切りついて、今回は「札所の霊験」の抜き読みでした。
あまりほかにやる方のいない噺ですが、龍玉師匠の鬼気迫る熱演が素晴らしかったです。

僕はとにかく龍玉師匠のファンなので、いつ聴いても素晴らしい素晴らしいばかり言っているのですが、ここのところ特に、師匠は大きく進化をしているように感じます。

龍玉落語をまだ聴いたことがない、あるいはしばらく聴いていないという方は、ぜひ師匠の現在進行形の芸に触れてみてください。

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龍玉師匠、深夜の新宿でなぞのポーズ。

その2、打ち上げであった方のこと。

で、ここからが今日の本題なのですが。

道楽亭の会は終演後に打ち上げがあり、希望者は誰でも参加できます。
昨夜の会の打ち上げで、僕はある男の方と隣り合わせになりました。

その方は、仮にYさんといたしますが、Yさんは神奈川の方の大学で先生をされているという、まことに人品いやしからぬ、ちょっと奥田民夫に似た良い男でした。

Yさんは非常に気さくな方で、「龍玉部屋」にも来てくださったことがあるということが分かり話が弾んだのですが、話を聞くうちに、なんと驚きの御仁であることが判明いたしました。

実はYさんは、落語会の打ち上げで知り合った女性と、近ごろご結婚されたというのです。

いや、僕は、そういうケースがあるということは話にうかがっていましたよ。
鰻の蒲焼があるということは話にうかがっていましたよ(ちりとてちん)。
しかし、実際にそういう人に会ったのは初めての体験です。
落語会で男女がめぐり逢い、ロマンスに発展するということがあるんだと、それは決して都市伝説ではないのだと、ここにその実物が存在するのだと、大げさに言えば宇宙人に遭遇したくらいの衝撃を受けました。

つい先日、「たけしのTVタックル」で、若い男女がなかなか結婚できない時代である、何しろ出会いの場が少ないというような特集を観たのですが、なんのなんの、Yさんはちゃんと運命の人を射止めたのです。
しかも落語会の打ち上げで。これは現代の奇跡ではないでしょうか。

打ち上げ付きの落語会というのは結構あります。
飲み屋、蕎麦屋、寿司屋などの飲食店で落語会が開かれている場合、その会場で打ち上げになるというケースが多いです。

大抵のお客さんは、噺家さんと懇意になりたい、高座では話せないようなオフレコの話を聞きたい、あるいは同じ趣味を持った者同士で愉快に酒を飲みたいという気持ちで参加するのだと思うのですが、そこで男女の出会いがあっても、まあ考えてみれば不思議ではないわけです。

ただ僕の私見では、適齢期の女性は割と多く見かけるのですが、適齢期の男性を見かけることは少ないように思います。
これはあれですかね、やはり噺家さんは男が多いので、そのファンであるところの女性のお客さんがどうしても多くなるという現象なんですかね。
若い男性を落語会であまり見かけないというのは寂しい事であります。

そこで、万国の男子諸君よ!
我こそはと思う者は、ぜひ落語を聴き、さらに打ち上げに参加して、新たな出会いを求めてみてはいかがだろうか。
女性たちは落語を聴いて楽しい気分になっていますし。お酒を飲んでいることでしょうし。そこには落語という共通の話題もあるのだし。
気の合うご婦人を見つけたら、今度二人で別の落語会に行く約束をしてもいいじゃありませんか。
人間、到る処青山あり。男女、到る処出会いあり。

もっとも、打ち上げに参加してそういう出会いがなかったとしても、僕は何の責任も持てないのですが…。

ちなみに、Yさんが奥さんと知り合った落語会は、三遊亭白鳥師匠の会だそうです。
何となくわかるような、そうでないような。

その3、龍玉師匠の会のこと。

最後になりますが、7月28日(月)に龍玉師匠の独演会があります。

主催は上記の道楽亭さんですが、龍玉落語を愛する者の一人として、宣伝に協力させていただきます。

この会では、師匠のライフワークといっても良い「真景累ヶ淵」を通しで口演するそうです。
通しといっても、累ヶ淵はとても長い噺なので、特に面白いところを選びに選んでお届けする、という会になると思います。

龍玉師匠の累ヶ淵をまだ聴いたことのない方、今現在の師匠の集大成を聴くチャンスだと思います。
平日の夜でお忙しいなかとは存じますが、ぜひぜひ足をお運びください。

会のチラシはこちら からご覧いただけます。

真夏の怪談で、しばしの涼をお楽しみください。

そして、この会であなたの隣に座ったお客さんが、もしかしたらあなたの運命の人かもしれません。

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新宿末広亭にて、自分の看板を指さす師匠。恋せよ、若人!

2014年5月17日 (土)

寄席のマナー考

今日は寄席でのマナーについて書きたいと思います。
なぜ寄席でのマナーについて書きたいと思ったかというと、先日鈴本に龍玉師匠を聴きに行ったとき、開演中に客席を立って会場の写真をパチパチ撮っているお客さんがいたのと、龍玉師匠のトリの出番が終わったあと「ブラボー」と大声で声をかけた客がいたのを目にしたからです。

落語ファンの皆さんには、それぞれに異なった落語の楽しみ方があると思います。

寄席や落語会に足しげく通う方には、自分なりの落語の聴き方、マナーの心得があるでしょう。

僕自身は、基本的には落語は自由に楽しむのが一番だと考えています。
落語だけでなく、観劇でもコンサートでも、あまりうるさいルールを押し付けるのはかえって野暮だと思います。

大切なのはお客さんが会場に足を運んで落語を、芝居を、音楽を楽しむということなので、ヘタに敷居が高くなってもいけません。

そうは言っても、寄席で落語を聴くのは家でテレビを見ているのとは違います。
公の場所にいるわけですから、やはりそれなりに守らなければいけないルールはあります。

僕は一応会を主催する立場でもありますので、例えば客席に何かトラブルがあれば、それに対処しなければいけない。
だから問題が起こらないためにも、ある程度のマナーは必要だと考えています。

このブログを読んでいらっしゃる方は、おそらくそのあたりの心得はすでにお持ちの方ばかりだと思いますので、共感できる、とかそれは違うだろ、とか思いながら読み飛ばしていただけると幸いです。

まず第一に、寄席側がやるなということはやってはいけません。

撮影や録音、携帯やタブレットの使用、開演中のお喋り、これはすべて寄席では禁じられていますし、きちんとアナウンスもされています。
寄席によっては飲酒も禁止されています。これは固く慎むべきでしょう。

これらは禁止事項なので、破った人は追い出されても文句を言えないと思いますし、寄席でも周りの人から注意されるという光景をよく目にします。

何故これが禁止されているかと言えば、ほかのお客さんの迷惑になるからです。

写真を撮っている人がいると、観客の注意がそっちに行ってしまい、落語に集中できなくなってしまうのです。

とくに前述の鈴本の写真の客は、わざわざ席を立って通路を歩き回ってパチパチやっていて、目障りなことこの上ありませんでした。

実は僕も写真でしくじったことがあります。

会社の仕事で落語会を開催していたとき、宣伝用の写真を開演中に撮っていたのですが、後日、出演していただいた噺家さんにやんわりとたしなめられました。

それ以降、どうしても撮影の必要があるときは、舞台袖から、あるいは会場の一番後ろから、マクラのあいだだけ数枚撮影することにしています。

上記のような禁止事項は絶対に守らなければいけない、というのを前提にしたうえで、さて次はこれはやらない方がいいだろう、という個人的な意見を書きます。

1、食事は禁止されていないけれど、なるべくなら休憩中に食べる。

迷惑に思う人がいると思うので控えた方がいいかもしれません。
僕は隣で弁当を食べている人がいても、音がうるさくなければ気にしません。
あまりに豪華な弁当だとそっちが気になっちゃうということはありますが。

2、掛け声はヘタにかけない方が良い。

個人的には紙切りを別にしては、高座に声をかけた経験はありません。

噺家さんにも、声をかけられて嬉しい人とそうでない人がいるので、これは一概に言えないかもしれませんが、まあ黙って聴いている方が無難じゃないでしょうか。

長年の落語ファンの方で、はたから見ていて「なるほど、落語はああやって聴けばいいんだな」と個人的にお手本にしている方が何人かいます。
そういう方々は高座に声をかけるようなことはしません。だから僕も慎むようにしています。

ちなみにそういう方たちは落語の知識をひけらかすことなく、もちろんほかの客の迷惑になるようなことは一切ぜず、打ち上げで若手の噺家に駄目だしするようなこともなく、応援する芸人さんにはそっときれいに祝儀をきる。
もちろんブログで誰々はつまらないなんて書いたりしません。カッコいいなあ。
なかなか真似できないことです。

ちなみに掛け声で「ブラボー」というのは、あまりにみっともないので、やめた方がいいでしょう。
しかも声をかけたのは女性だったようです。
これは差別的な意図では決してありませんが、女性の掛け声というのは感心しません。
歌舞伎の大向こうにも女性はいません。
大声が出したかったらアイドルのコンサートとかに行くのがいいのではないでしょうか。

3、お酒がOKのところでも泥酔しない。

これは体に悪いです。

4、通ぶらない。

これについては自戒の念を込めて書きます。

まず変な独り言をつぶやく人。特に演目を言う人がいます。
噺に入った途端に「転宅か」とか。
なんですかね、あれは。どういう心理なんだろう。
落語のことを良く知っているよと周りにアピールしたいのかな。
ドラマ「タイガー&ドラゴン」で尾美としのりが必ず演目を口にする客の役(「お、いいねえ、厩火事」とか)だったのですが、あれはドラマ上の演出なので、寄席で実際にやらない方がいいと思います。
小噺の下げを言ったりするのは、もちろんNGです。

あとメモ。
メモは僕も取るんですけど、噺が終わってお辞儀も終わって、噺家さんが袖に下がるときにささっと演目を書きとめるようにしています。
話している最中に書く必要はないんじゃないかな。噺に入った途端にペンを走らす人がいますが、あれも「俺はもうこの噺が何か分かった」というアピールっぽくて、はたで見ていて恥ずかしいのでやめた方がいいかなと思います。

と色々書いてきましたが、やはり大切なのはお客さんが会場に足を運んでくれるということなので、常識の範囲内で気楽に楽しむ、というのが一番かなと思います。

落語天の落語会はとても気楽な会ばかりですので、どうぞお運びくださいね☆

でも、携帯は必ず切ってください。お願いいたします。

2014年5月11日 (日)

龍玉師匠主任興行の初日

今日は上野の鈴本演芸場に行ってきました。
我らが蜃気楼龍玉師匠の主任興行初日です。

トリネタは昨日の龍玉部屋でネタおろしした「鰻の幇間」でした。

客に騙された幇間(たいこもち)が、鰻屋の二階で腹立ちまぎれに叫ぶ言葉。

「きったねえ家だなぁ~っ!」

師匠の爆笑フレーズとして、万人の心に深く刻まれることでしょう。たぶん。

これから鈴本に行こうという方のために、割引チラシのページを再掲します。
木戸で携帯の画面を見せても割引になりますよ☆
こちら→鈴本の割引チラシ

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第六回「龍玉部屋」御来場御礼

本日は第六回「龍玉部屋」にご来場いただき、ありがとうございました。
おかげさまで沢山のお客様にお越しいただき、盛会となりました。
また、告知にご協力いただいた多くの皆様にも心よりお礼申し上げます。

本日の番組
蜃気楼龍玉 「鰻の幇間」 
柳家かゑる 「お父さんのハンディ」 
お仲入り
蜃気楼龍玉 「芝浜」 

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ネタおろしの「鰻の幇間」は、幇間のグチっぷり、キレっぷりに龍玉師匠らしさが溢れていました。
あまり幇間の噺をかけるイメージのない師匠ですが、想像以上にノリノリで大爆笑の一席でした。

ゲストのかゑるさんは「お父さんのハンディ」。
マクラでは得意の声色も飛び出し、大きな体から前に前に明るさが放出されるような楽しい高座でした。

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かゑるさん。ピース。

そしてトリネタはまさかの「芝浜」。
季節外れではありましたが、渾身の一席でした。
明日(5月11日)から始まる鈴本演芸場での5月中席夜の部の主任を務める龍玉師匠。
この「芝浜」は、おそらく中席のどこかでかかるんじゃないかと思います。
まあ、たぶんその予行演習的な意味合いもあったのではないかと…(笑)。

こちらから鈴本の割引チラシにジャンプできます。
プリントアウトしなくても窓口で携帯画面を見せてもOKです。
鈴本演芸場で、師匠の勇姿をご覧あれ!

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龍玉師匠。

ちなみに上の写真で龍玉師匠がもっているのは、7月28日に日本橋教育会館で行われる独演会のチラシです。

なんと「真景累ヶ淵」の通し口演という、見逃せない聴き逃せない公演です。
こちらもただいま予約受付中。
詳しい情報はコチラでどうぞ!

次回の龍玉部屋は8月開催の予定です。
是非またよろしくお願い申し上げます。

2014年5月 4日 (日)

GWの落語

連休中には各所で色々な落語会が開かれて、落語ファンの皆さんは一日に何軒も梯子したり、あるいは特別企画の寄席に一日お籠りしたりしていることでしょう。

僕は巣鴨のスタジオフォーで開かれている「四の日昼席」に行ってきました。

「龍玉部屋」のチラシを置かせてもらうために開演より一時間ほど早く行ったのですが、中ではすでに今日の出演者である古今亭志ん吉さんと龍玉師匠がチラシ置きの作業をしていました。
僕も交じってチラシを挟み込んでいると、途中で金原亭龍馬師匠もやってきました。

龍玉師匠曰く、巣鴨地蔵通りがあまりに混んでいたので、道いっぽん脇へ入って歩いてきたとのこと。
休日の巣鴨はお年寄りでごった返していて、その流れは大河のようにゆっくりで、なかなか前に進むことができないのです。

番組
古今亭志ん吉 熊の皮
金原亭龍馬  人形買い
隅田川馬石  粗忽の釘
仲入り
蜃気楼龍玉  親子酒
初音家左橋  寝床

古今亭/金原亭の俊英、重鎮が勢ぞろいです。

馬石師匠の「粗忽の釘」を聴いていて面白かったのは、粗忽者の主人公が決してアタフタと慌ててはいないところ。
「落ち着かせていただきます」という以前から割と落ち着いていて、粗忽という性格から騒動を起こすのではなく、むしろもっと根本的な思考方法が他人と異なる人物なのではないかという感じがしました。
僕は談志師匠の言う「主観長屋」というのがよく分からなかったのですが、馬石師匠のやる「粗忽の釘」を聴いて、なんとなく理解できたような気がしました。

龍玉師匠は得意ネタの「親子酒」を、顔芸と仕草を駆使してこってり(?)と。
もう何度も聴いているはずですが、聴くたびに笑いどころが多くなっている気がします。

本の中で雲助師匠が先代馬生師匠について「ウチの師匠のことをみんな、「人情噺がいい」ってェけど、寄席で演った小ネタ、軽いネタが本当にどれをとっても面白かった。」と述懐していますが、将来龍玉師匠も人情噺を得意とする噺家として評価されると同時に、滑稽噺の名手として記憶されるのではないかと、ひそかに思っています。

ということで、龍玉師匠がいわゆる落語、落とし噺、滑稽噺のネタおろしに挑戦する「龍玉部屋 」が5月10日(土)に開催されます。

開場12時半、開演13時、場所はお江戸両国亭です。龍玉師匠は「鰻の幇間」をネタおろしします。
ゲストには柳家かゑるさんが登場します。

ご予約はrakugoten@yahoo.co.jpまで。
皆様のお越しをお待ちしております。どうぞ賑々しくお運びください!

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