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2014年7月 7日 (月)

落語はお笑いなのか

今日は、落語はお笑いなのか、というタイトルで書こうと思うのですが。

最近はテレビや雑誌などで落語が紹介されることが多くて、大抵は寄席は気軽に入れるところです、日頃のストレス解消に、大声で笑ってみませんか、的なことが書いてあります。

でもそういう記事を読むと、本当に初心者の方に落語をそんな風に紹介して、寄席に大笑いすることを期待させて集客することは正しいのかと、心の隅でちょっとだけ思います。

まあ、観客の爆笑を誘うタイプの噺家さんもいれば、じっくり聴かせる噺や噺家さんもいますし、落語とひと口に言ってもいろいろなタイプがあって、簡単にカテゴライズするのは、そもそも無茶なのかもしれませんが。

ではなぜ「落語はお笑いなのか」ということを考えようという気になったかというと、立川談志が観客の落語に対する反応について語っている録音を聴いて、なんとなく腑に落ちるところがあったからです。

僕の聴いたのは某動画投稿サイトにアップされていた「早起き名人会」の録音です。

川戸貞吉がパーソナリティで、この日の放送は古今亭志ん生の「二階ぞめき」で、ゲストとして立川談志が呼ばれています。

冒頭で春風亭一柳の自殺に触れていることから、昭和56年放送の物だと思われます。

最初に川戸貞吉が志ん生の「二階ぞめき」について、雨が降って寄席に客の少ない時にしか聴かれないネタだったというようなことを紹介し、その後で立川談志が独演会でかけた二階ぞめきが非常に良かった、楽しかったと評しています。

その楽しかったという川戸評を受けての、談志発言が以下です。

「ところがね、楽しさっていうもののね、観客の受け止め方が、それを楽しいと感じるのはね、アナタであり俺でありね、この年齢っていうかな、あの(落語に)惚れた年齢はそれができるんだけど、いまの観客っていうのはね、笑いっていうか、具体的に笑わないと、アッハッハッハッて笑わないと納得しないわけですよ。

だから、この(二階ぞめきには)笑いがあるわけじゃなし、その聴いてて何とも、つまり自分の好きな歌謡曲を聴いて「いいなあ、松平晃は」であり「いいなあ、やっぱり、やれその、曽根史朗のこの歌は」と聴いてると同じような部分で楽しんでくれようとしないというのがね、必要以上に私は神経質だから、それが分かっちゃうんだよ。

だから今の人たちってのは割とその、こう説得っていうか、有難味に弱いから。こういうのはこういう噺で、笑うんじゃなくてフワフワ聴く噺なんですというイベントをこしらえてやって演れば別だけど。

だから今言うとおり、志ん生師匠がその雨の降る、客の少ない、つまり爆笑を期待しなくても済む、そういうところで演れるというのは、志ん生師匠はそれなりに、皮膚感でそういったんだろうね」

この発言にある通り、笑いだけでない落語の持つ魅力が観客に理解されにくい状況に対して、立川談志は危機感を抱いていたようです。

この項で落語はお笑いか否かという結論はないのですが…何となく尻すぼみになってしまったので、一応最後に締めくくりとして、宣伝をば。

8月30日(土) 第七回「龍玉部屋」 出演:蜃気楼龍玉、神田春陽
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9月14日(日) 第七回「ザ・菊之丞」 出演:古今亭菊之丞、春風亭一之輔
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どちらの会も、よろしくお願いいたします。
お待ちしております!

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